- 内くるぶしが痛い
- 内くるぶしが腫れてくる、ずっと腫れている
- 内くるぶしの上の筋を押すと痛い
- 靴が内くるぶしに当たって痛い
- つま先立ちができない(片足ならなおのこと)
そんなあなたは後脛骨筋炎、または、後脛骨筋機能不全(PTTD)という病気になっているかもしれません。
後脛骨筋機能不全(PTTD)・後脛骨筋炎とは
後脛骨筋というのは、脛(すね)の内側から内くるぶしの後ろ、そして足裏にかけて通っており、土踏まずを支えたり、背伸び(つま先立ち)動作をつかさどります。ジャンプやランニングの多い激しいスポーツや過度な体重による慢性的な負担がそこにかかると、筋や腱が部分断裂(~完全断裂)などを起こし、後脛骨筋の機能が損なわれて偏平足になってしまう状態である。
PTTDは身体にどんな影響
まず悩みの発端の多くは「痛み」だと思います。PTTDにはステージ1から4までに分類されていますが、痛みの度合いとPTTDの重症度は必ずしも比例するわけではありません。重度の方で運動機能が失われ変形が顕著な場合でも、痛みはそれほどではなかったり、軽度の変形で運動機能は保たれているものの痛みが強かったりします。
PTTDには以下のような特徴があります。
・50~60代以降の中高年の女性に多い。
・初期はたまに軽い痛みを感じる程度の場合もある。
・長時間歩行になると内くるぶし周囲に張りや腫れ、そして、痛みを感じる。
・慢性的になって進行してくると、偏平足、外反母趾や開帳足などの変形を伴ったり、長時間歩行どころか一歩歩くだけでも痛みがある。
・さらに進行すると徐々に外くるぶしの下側にも痛みが出てくることも。
どの段階の方でも、日常生活に支障がでてきて辛いのですが、痛みをかばった歩き方や身体の使い方を続けていると、悪影響が全身に及んでしまうこともあります。そうなる前に、できるだけ早期改善することが望ましいのです。
また、「痛みなし=問題なし」ではありません。痛みがないからと放っておいて良いわけではありません。
土踏まずのアーチが下がり、偏平足の兆候が出ているということは、・・・・
足の靭帯が弱くなり、骨組みをしっかり束ねられておらず、足の中はとてもグラグラしている状態です。
ラグビーで例えると、スクラムをガッチリ組めていない状態で、ちょっと相手に押し込まれただけで崩れてしまうようなものです。
骨のまとまりが悪いので力も上手く入りません。
そのため、足でしっかり踏ん張れなかったり、ふらついたりします。
つまずくことも多くなったりします。
筋肉も働きにくいため循環が悪くなって、浮腫や疲労が取れなくなります。
上体(足首から上)に無理がかかって、足首や膝、股関節もを傷めてしまうこともあります。
また、不安定な中なんとかバランスを保とうとするあまり、姿勢も偏ってしまって、反り腰、猫背や側弯、ストレートネックなど姿勢不良にもなることもあります。
上に挙げたような症状や姿勢の問題は、PTTDとは関係なさそうに見えますが、驚くことに、PTTDや偏平足が改善されると同時にこれらも改善されることも多いのです。
PTTDや後脛骨筋炎の原因
ちまたでは、過度な激しいスポーツに携わってきたからだとか、体重オーバーのせいだとか、女性に多いことから足の筋力が弱いからだと思われがちです。
しかし、スポーツには縁のない方や細身の方にもPTTDはみうけられ、ウエイトオーバーや筋力低下だけが根本原因ではありません。
足病専門医療の先進国アメリカでは、過剰回内(オーバープロネーション)が足の万病のもと認知されており、PTTDも例外ではなく、そのせいで引き起こされているというのが常識になっています。
つまり、肥満やオーバーウエイトはともかく、普段からの足の使い方や歩き方の善し悪しが、PTTDになるかどうかの決め手になっていると言っています。
過剰回内(オーバープロネーション)とは
その過剰回内とはどう言った状態のことかというと、下の図の左のように踵の骨が曲がり内くるぶしや足のアーチが地面の方(内側)に倒れている状態です。
ご自分の足を観てもよく分からなければ、膝の位置を目安に確認してみましょう。
膝頭がつま先より内側を向いていませんか?
鏡の前で観察してください。
回内状態は歩行時のショックアブソーバー(衝撃吸収機能)として大切なのです。
しかし、ズーッと回内になっていたり、極端な回内になっていたりする人がいらっしゃいます。
もともと偏平足であったり、母趾が示趾(人差指)より長かったりと、過剰回内になりやすい先天的な要因を持っている人もいますが、それよりも普段の間違った足の使い方や歩き方のほうが悪影響を及ぼしていることが多いのです。そのうえで、過剰な体重やスポーツなどの高負荷が影響している思われます。
PTTDの改善方法
皆さんがいままで安静をとったり、テーピング、装具(サポーター、プロテクター)、マッサージや足の体操をしても効果がなかった理由は、もうお分かりですよね。
それらは変形の矯正や除圧など保護をする対処療法であって、過剰回内そのものを改善させるものではなかったからなのです。
一時的に症状が緩和されたりしても、日常的な身体の使い方が変わったわけでないので、生活しているうちに悪い状態に戻ってしまいます。
そうなのです。「歩き方の改善」こそPTTDの根本療法にもなるわけです。
そこで、「そうか歩き方か!」と思って、
「足指を意識して歩こう!」
「足で地面をしっかり蹴って歩こう!」
「身体を捻りながら歩幅を大きく歩こう!」
「脚や膝をしっかり伸ばして颯爽と歩こう!」
などとお考えになるかも知れません。
ところが、一般的に善しとされるこのような歩き方は、かえってPTTDを悪化させるため自己流で取り組むととても危険です。
私たちは、生体構造力学(バイオメカニクス)という信頼のおける研究から編み出された「ゆるかかと歩き(ネイティブウォーキング)」という歩行指導と整体施術を組み合わせた「ネイティブウォーキング・プログラム」を提供し、子供さんからご年配まで多くの方に成果を出していただいています(協会・導入院実績)。
PTTDや内くるぶしの腫れや痛みのお悩みの皆さまはもちろん、足を引きずるように歩いたり、内くるぶしの痛みを訴えたりする家族やお知り合いがいたら、早めにみてもらうことを勧めてください。偏平足になっているかもとお気づきの皆さまも、放置してしまうことなく当院をお役立てください。